使い方
DocuSign(ドキュサイン)とは:電子署名を「送る・署名する・管理する」ための基本
DocuSign(docusign.com)は、契約書や申込書などの書類をオンラインで送信し、相手に電子署名(eSignature)してもらうためのサービスです。紙の印刷・押印・郵送を減らしつつ、署名プロセスの進捗確認や履歴(監査証跡)も一元管理できます。
DocuSignの「使い方」は大きく分けて、署名依頼を送る側(送信者)と、届いた書類に署名する側(署名者)で操作が変わります。この記事では、実務で迷いがちなポイントを押さえながら、両方の手順をわかりやすく解説します。
最初に押さえる用語:エンベロープ、受信者、フィールド
DocuSignの画面や操作説明で頻出する用語を、最初に整理しておくとスムーズです。
- エンベロープ(Envelope):送信する一連の署名依頼の単位。書類ファイル+受信者+署名順+入力フィールドなどをまとめたもの。
- 受信者(Recipients):署名する人、確認する人、コピーを受け取る人など。役割を選べます。
- フィールド(Fields / Tabs):署名欄、日付、氏名、テキスト入力、チェックボックスなど、受信者が入力・署名する場所。
この3つが理解できると、DocuSignの「使い方」の大半は組み立てられます。
送信者向け:署名依頼(エンベロープ)を作成して送る手順
DocuSignで最も多い利用シーンは「相手に署名してもらう」です。基本の流れは、書類をアップロード → 受信者を追加 → フィールド配置 → 送信です。
ステップ1:書類をアップロードする
送信画面で対象の書類を追加します。一般的にはPDFのほか、WordやExcelなどのファイル形式も扱えます。社内の雛形や取引先フォーマットがある場合でも、まずはファイルとして用意してアップロードすればOKです。
- 複数ファイルをまとめて1件の依頼にすることも可能です(例:契約書+付帯資料)。
- ファイル名は受信者にも見えることがあるため、案件名がわかる命名にすると問い合わせが減ります。
ステップ2:受信者(Recipients)を追加し、役割を設定する
次に、署名を行う人の氏名とメールアドレスを入力します。DocuSignでは受信者のアクション(役割)を選べるのが重要ポイントです。
- 署名が必要(Needs to Sign):署名や入力が必要な相手。
- 対面署名(In-Person Signer):同席してサインを進めるケース向け(利用プランや運用により表示が異なる場合があります)。
- コピー受領(Receives a Copy):署名作業なしで控えだけ受け取る相手。
実務では、法務・経理・現場など「控えだけ欲しい」関係者がいることが多いので、コピー受領をうまく使うと情報共有がきれいに回ります。
ステップ3:署名順(ルーティング)を整える
複数名が関わる場合、誰が先に署名するか(順番)を設定します。順番を固定すると、前の署名者が完了した後に次の人へ通知されます。
- 例:社内承認→取引先署名→自社最終署名、といった順に設定。
- 並行で署名してよい場合は、同じ順番番号にして同時送信の形にします。
署名順はトラブル防止に直結します。契約の締結条件や社内規程がある場合は、順番の設計を先に決めてからフィールド配置に進むのがおすすめです。
ステップ4:署名欄・入力欄(フィールド)を配置する
DocuSignの使い方で一番「実務差」が出るのがここです。書類上の該当箇所に、必要なフィールドをドラッグして置き、どの受信者が入力するかを割り当てます。
- 署名(Sign):署名が必要な箇所に配置。
- イニシャル(Initial):各ページの確認印のように求められる場合に配置。
- 日付(Date):署名日や記入日を求める欄に配置。
- テキスト入力:住所・会社名・金額・担当者名などの入力欄に。
- チェックボックス:同意確認など「チェック必須」の項目に。
入力を必須にしたい箇所は「必須」設定を使い、未入力のまま完了できないようにしておくと、差し戻しが激減します。
ステップ5:件名とメッセージを最適化して送信する
送信前に、メールの件名と本文メッセージを整えます。相手は日々多くのメールを受け取るため、ここが弱いと「迷惑メール扱い」「後回し」「未対応」の原因になります。
- 件名は「書類名+依頼内容+期限」がわかる形にする(例:業務委託契約書/電子署名のお願い/1月15日まで)。
- 本文には、署名が必要な理由、想定所要時間、期限、問い合わせ先を短く入れる。
準備ができたら送信ボタンを押して完了です。送信後はエンベロープとして追跡・管理できます。
署名者向け:届いたDocuSign書類に署名して返す手順
次に、受け取った側(署名者)の使い方です。署名者は必ずしもDocuSignの有料アカウントが必要とは限りません。基本的には、メール通知から手順に沿って署名を進めます。
ステップ1:メールから書類を開き、内容を確認する
DocuSignから署名依頼メールが届いたら、案内に従って書類を表示します。最初にやるべきことは「署名する前に読む」です。
- 契約金額、期間、解除条件、支払条件、個人情報に関する条項など、重要項目を優先的に確認。
- 複数ファイルが含まれている場合は、添付資料も含めて全体を確認。
ステップ2:初回は署名スタイルを採用(Adopt)する
DocuSignで初めて署名する場合、署名欄を選択すると「署名を作成・採用」する手順が表示されます。一般的には次の方法を選べます。
- 既定スタイルを使用:入力した名前から署名風のフォントを生成。
- 手書き(描画):画面上で指やマウスで署名を書く。
- 画像をアップロード:署名画像を利用する(送信者側設定により使えない場合があります)。
実務では、スピード重視なら既定スタイル、本人の筆跡に近づけたいなら描画、社内規程で署名画像が定義されているならアップロード、と使い分けると効率的です。
ステップ3:必須フィールドを埋めて「完了」する
署名欄だけでなく、テキスト入力、日付、チェック項目など、受信者に割り当てられたフィールドを順番に埋めます。必須項目が残っていると完了できないため、画面の指示に従うと迷いにくいです。
- 入力ミスを防ぐため、会社名や住所などはコピー&ペーストを使う。
- 漢字・英字表記が契約上重要な場合は、表記ゆれがないか確認する。
最後に「完了」ボタンを押すと提出され、控えが届く運用が一般的です(送信者側の設定により異なる場合があります)。
送信後の管理:ステータス確認とリマインドの考え方
送信者側は「送ったら終わり」ではなく、ステータス管理が重要です。DocuSignではエンベロープの状態を追跡でき、未完了の相手が誰かを把握しやすくなります。
- 送信済み:相手に通知された状態。
- 閲覧済み:相手が書類を開いた状態。
- 完了:すべての署名・入力が完了した状態。
- 辞退:相手が署名を拒否した状態。
相手が忙しい場合、未対応が続くこともあります。リマインドを送る際は、期限と所要時間を再提示し、相手が「今すぐ片付けられる」状態を作るのがコツです。
テンプレート機能の使い方:同じ書類を何度も送るなら必須
頻繁に送る書類(例:業務委託契約、NDA、入社関連書類、申込書)は、毎回フィールドを置くのが非効率です。そこで活躍するのがテンプレートです。
テンプレート化すると、次回以降は「書類+フィールド配置+受信者の役割」が再利用でき、送信までの時間が大幅に短縮されます。
- 役割(例:取引先担当者、自社担当者、承認者)をテンプレートに持たせると運用が安定します。
- 固定文言が多い書類ほどテンプレートの効果が大きいです。
一括送信(Bulk Send)の使い方:同じ内容を複数人へ配布する
同じ書類を複数人へ送るケース(例:雇用契約の一斉配布、研修同意書、規程の受領確認)では、一括送信が便利です。受信者リストを用意してまとめて送るイメージですが、重要な注意点があります。
- 一括送信は通常、テンプレートを前提に設計するとスムーズです。
- 受信者リスト(CSVなど)を使う運用では、1人ごとに個別のエンベロープが作成される考え方になります。
- 配布数が多いほど、名前・メールアドレスの表記ゆれがエラー原因になるため、事前の名寄せが重要です。
大規模配布では「誰が未対応か」を追跡する運用が必須になります。送付前に、完了期限・リマインドルール・問い合わせ窓口まで決めておくと、回収が速くなります。
モバイルアプリでの使い方:外出先での署名と確認を最短にする
DocuSignはモバイルアプリでも署名・返送ができます。移動中や出先で署名依頼が来たときに、PCを開かずに対応できるのが強みです。
- 通知から書類を開き、署名欄をタップして署名スタイルを選択。
- 必要項目を入力して完了。
- 指での描画署名は、画面保護フィルムの滑りで書きにくいことがあるため、既定スタイルを使うと速いです。
モバイルは「読む」「署名する」「完了する」には十分ですが、送信者として複雑なフィールド設計やテンプレート調整を行うならPCのほうが効率的です。
実務で差がつく設定ポイント:受信者の役割設計とフィールド割り当て
DocuSignの運用でつまずきやすいのは「誰が何をするか」が曖昧な状態で送ってしまうことです。送信前に次を確認すると、差し戻しが激減します。
- 署名者とコピー受領者が正しいか(間違えると情報漏えいにもつながります)。
- 署名順が契約プロセスに合っているか(先に署名すべき人が後ろになっていないか)。
- フィールドが「正しい受信者」に割り当てられているか(相手に入力させるべき欄が自分に割り当たっていないか)。
- 必須設定が適切か(必須にしすぎて相手が詰まっていないか、逆に必須が漏れていないか)。
署名の変更・管理:署名スタイルを変えたいときの考え方
署名者として運用していると、「署名の見た目を変えたい」「画像署名に統一したい」というケースがあります。一般的には、アカウントを利用している場合はプロフィール管理から署名を調整できることがあります。
- ただし、署名方法(描画・アップロードなど)が表示されない場合は、署名している状況や送信者側の設定によって制限されている可能性があります。
- 企業運用では、署名スタイルを統一するルールがある場合があるため、社内規程に合わせて調整します。
よくあるミスと対処:送れない・署名できない・完了できない
DocuSignの使い方でよくある詰まりポイントを、原因別に整理します。
- 送信できない:受信者メールアドレスの形式ミス、必須フィールドの未配置、受信者の役割設定漏れが多いです。
- 相手が署名できない:必須項目が多すぎる、どこを入力すべきかわからない、署名順の前提が崩れているケースが多いです。
- 完了できない:必須フィールドの未入力が残っていることがほとんどです。画面の案内に従い、未入力箇所へ移動して埋めます。
- 名前が違うと言われた:受信者情報を登録した時点の表記が固定されていることがあります。送信前の受信者情報を再確認します。
最短で上達する運用テンプレ:初回導入でまず作るべき3種類
DocuSignを業務で使うなら、最初に次の3つを整えると運用が一気に安定します。
- 頻出契約のテンプレート:NDAや業務委託など、最も送る回数が多いもの。
- 受信者役割の標準:署名者、承認者、コピー受領者の定義を社内で統一。
- 依頼メッセージの定型文:件名・本文・期限・問い合わせ先を短くまとめた文章。
これだけで「送るたびに迷う」「相手が迷う」「差し戻しが起きる」が大きく減り、DocuSignの使い方が実務の武器になります。